イジワル副社長と秘密のロマンス


「わぁっ」


思わず声が出た。そこは樹君の寝室だった。

リビング同様寝室も、間接照明のあかりで淡く照らされているこの部屋も、やっぱりシンプルである。

キングサイズくらいあるだろう、大きなローベッド。その傍らには背の高い観葉植物が置かれていて……。


「……あっ。嘘っ!」


ベッドの枕元、棚になっている部分にあるものを見つけ、たまらず私は寝室に足を踏み入れた。


「可愛いっ!」


そこには私が樹君の家に来る切っ掛けになった、黒ネコと白ウサギのぬいぐるみが並べ置かれていた。 

彼がどんな魔法を使ったのか分からないけれど、黒ネコの見栄えが格段に良くなっている。

黒ネコの頭には王冠が、白うさぎの頭にはティアラが乗せられている。

以前、私が乗せていたのは値段も安く、子供のおもちゃと言ってしまえるレベルの代物だったのだけれども、今、目の前にいるネコが頭に乗せているものは、とてもじゃないがそうは見えなかった。

カットガラスにスワロフスキーや真珠を使って作られたそれは、とっても綺麗でうっとりしてしまう。

見栄えは良くなったけど、黒ネコのぽっちゃり体型はそのままだった。


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