イジワル副社長と秘密のロマンス
軽く息を吐いてから、俺も飲み物を手に取った。冷たくて美味しい。
「ふふっ……美味しい」
込み上げてきた感情を堪えきれない様子で、嬉しそうに彼女が言う。
「いつも思うけど、牧田さんのクッキーって、美味しいよね」
幸せそうな顔で話しかけられ、俺もクッキーに手を伸ばす。一口かりっと嚙み砕き、眉根を寄せる。
「……うん。まぁ。美味しいけど」
「もしかして、甘いの苦手だったりする?」
俺の返答が意外だったのだろう。瞳を大きくさせ、彼女が俺の顔を覗きこんできた。
朝子さんに聞こえないように、俺は声を潜めた。
「うん。あんまり得意な方じゃない。これ、俺には一枚でじゅうぶん……俺のためにって作ってくれたものだから、ちゃんと食べるけど」
朝子さんは泊りに来ている俺のために、張り切って作ってくれた。
目の前にいる彼女のように、体全部で美味しいと伝えることは俺には難しいけど、朝子さんの気持ちは嬉しいから、ちゃんと応えたい。
素直に答えると、俺の言葉を聞いた彼女の口元に笑みが浮かんだ。
「そっか。うんうん……でも勿体ないなぁ。甘くてこんなに美味しいのに、苦手だなんて」