イジワル副社長と秘密のロマンス
俺は俺なりに感動していたのだけれど、それは彼女に伝わらなかったようだ。
「よし! じゃあ、もう少し高いところに行ってみよう! そっちからだったら、牧田さんの家も見えるかも!」
次の一手を繰り出すように、彼女が俺の手を引っ張った。先には展望台がある。そこに行きたいらしい。
俺を引っ張る彼女の必死な姿に苦笑いすれば、彼女が口を尖らせた。
展望台の下まで来て、足が止まる。
高さは地上五メートルほどしかない。展望スペースには階段を使ってあがるのだけれど、それがとても狭かった。人とすれ違うのも気を遣うくらいに、幅が狭かった。
ざっと辺りを見回しても、動物NGの看板は見当たらなかったけど、自分の気持ち的に、上にユメを連れて行くのがなんだか憚れた。
どうしようかと考えを巡らせたとき、ちょうどユメが先に進むことに嫌がるそぶりをみせた。
「ちょっと待って。ユメ置いてく」
一声かければ、すぐに彼女の手が俺から離れた。「うん」と頷きながら、ゆったりとした足取りで階段へひとり向かっていく。
展望台下にあるポールにユメのリードを縛りつけ、おすわりと一言命ずれば、ユメがその場に座り込んだ。