イジワル副社長と秘密のロマンス
最初に抱いた軽薄な印象を新たにすることもせず、私は視線を移動させる。
樹君は、社長と吉原さんとの三人で議論をしていた。
彼の真剣な横顔に鼓動が高鳴っていく。
やっぱり樹君は格好いい。真摯な態度や姿勢に目を奪われずにはいられない。肩書なんて関係なく、ここにいる誰よりも、彼が一番素敵である。
隣に並んだ星森さんが、軽く肩をぶつけてきた。よろけながらも、何事かと星森さんを見た。
「三枝さんっ。副社長に見惚れてる」
ちょっぴり口を尖らせたあと、星森さんがからかう様な笑みを浮かべ、私に身体を近づけてくる。また肩と肩が触れた。
「付き合ってるなら、付き合ってるって、教えてくれればよかったのに!」
「ごめんね。自分たちのことは周りに言い辛くて」
「そうなの? 私だったら、うざがられるくらい自慢しちゃうけどなぁ。女、鬱陶しいみたいな顔をするあの副社長をどうやって射止めたのか、あとでいろいろ聞かせてよね!」
樹君の好きな所を言えと言われたら、たくさん並べられるけど……どうやって射止めたのか説明しろと言われても、言葉は出てこないと思う。自分でもよく分からないのだから。
早くも困っていると、スタジオ内で楽しそうな声が上がった。