イジワル副社長と秘密のロマンス
白濱副社長がお腹を抱え、肩を揺らしていて、それに対し津口さんは不満そうに顔をしかめている。
津口さんが助けを求めるように樹君を呼んだ。
けれど呼ばれた本人は、不快感たっぷりの眼差しを向けてから、拒絶するように二人に背を向けてしまった。
そのあとほんの一瞬、樹君が私の方に顔を向けた。
目が合い、軽く口もとに笑みを浮かべると、樹君もわずかに口角を上げ、少しだけ表情を柔らかくした。
「でもほんと、副社長カッコいいよね……羨ましいな」
切なく呟かれた言葉に、ドキリとさせられる。きゅっと胸が苦しくなった。
「……星森さん」
隣に立つ星森さんの瞳は、まっすぐ樹君に向けられている。
彼を見つめる表情は悲しそうでもあり、苦しそうでもあり、そして愛しげにも思えた。
樹君が好きなんだと、はっきり伝わってくる。
自分がかけられる言葉などないような気がして、私は口を閉じた。
すると、星森さんがはっとしたようにこちらに顔を向けた。
「って言っても、ほんのちょっとだけだけどね!」
明るく背中を叩いてきた。
思ったよりも強い力に足元をふらつかせながら、彼女の優しい気遣いに申し訳なさを感じてしまう。