イジワル副社長と秘密のロマンス

白濱副社長の言い方が気に障ったらしい。星森さんはあからさまに“社長”を強調して、言葉を返した。


「AquaNextは顔面偏差値高い店員多いって聞いてたけど、納得。ふたりともとっても可愛いなぁ」

「それはそれは、どうも有難うございます」


愛想笑い全開ではあるけれど、星森さんが白濱副社長と会話を続けてくれている。

できるならば、白濱副社長の相手を彼女に任せて、私は少し距離を置きたい。

そう思った矢先、星森さんがポケットから慌てて携帯を取り出した。


「宝さんから電話」


私に一言告げてから、「失礼します」と頭を下げて離れて行く。ふたりっきりになってしまった。

恐る恐る視線を上げれば、白濱副社長としっかり目が合った。身を竦めた私へと、にっこり笑いかけてきた。


「みーつけた。初めまして、なんて言わせないよ?」


完全にロックオンされてしまった。逃げ出したいのに、足が動かない。


「君となんとかしてもう一度会えないかなぁって思ってたんだ。どんな手段で探し出そうかなって考えてたとこ。まさか藤城弟の秘書だったなんて。今日、スタジオに来て良かった」


笑みを浮かべながら、白濱副社長がまた一歩距離を詰めてきた。ますます身体が強張ってしまう。


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