イジワル副社長と秘密のロマンス
白濱副社長のペースに乗せられちゃいけない。
分かっているのに、樹君を悪く言われてしまうと、我を忘れてしまう。反論せずにいられなかった。
「絶対、嫌!」
頭に血が上っていたけれど、スタジオ内に響き渡った樹君の声で、私は一気にクールダウンする。
白濱副社長を避けつつ何事かと確認すると、ちょうど樹君が不機嫌そうに何かから顔をそむけたのが見えた。
「いい加減にして」
「本気で言ってるから! 他の人とじゃ物足りないのよ。樹と組んだ方が、絶対に良いと思うの! ね、お願い!」
津口さんがすがるように樹君の腕を掴んでいる。
樹君は眉根を寄せて、吉原さんを見た。目で「どうにかしてよ」と訴えかけている。
吉原さんは頭をかきながら、おずおずと口を開いた。
「俺はね、樹は嫌がるだろうから無理だよって言ってたんだけど……さっきふたりで並んで立ってるとこ見ちゃったらさ、なんかイメージ湧いてきちゃって……どうだろう、樹。ここは折れてみないか? ちょっとだけでもいい。俺に、撮らせてくれ」
「はぁっ!?」
吉原さんに手を合わされて、樹君が盛大に口元を引きつらせている。
さりげなく私の肩に手を回しながら、白濱副社長が事の顛末を教えてくれた。