イジワル副社長と秘密のロマンス
「いたっ!」
いつの間にか、白濱副社長の後ろに樹君が立っていた。しかも白濱副社長の左手を捻り上げている。
「さっきから何なの? 腹立つからやめて」
「何だよ! 離せよ!」
「離してもらいたいなら、そっちが先に離れて」
樹君の冷徹な眼差しに射すくめられ、白濱副社は私の頬に触れていた右手を、ゆっくり引っ込めていく。
ホッと息を吐くと同時に、樹君も捻り上げていた白濱副社長の手を解放した。
「可愛い子を口説いて、何が悪いんだよ」
「腹が立つ相手に対して不快感を露わにして、何が悪いの?」
副社長どうし、睨み合っている。
殺伐とした空気を放っている樹君と白濱副社長の間に、慌てて社長が入ってきた。
「まぁまぁまぁ。樹、ちょっと落ち着こうな。白濱も、俺の弟をあんまり刺激しないでくれないかな」
樹君にじろりと睨みつけられ、白濱副社長に肩を竦められ、社長が口元を引きつらせた。
「ほらだって。白濱はもともとこういうキャラだってお前もわかってるだろ? こいつにとっては挨拶みたいなもんなんだから……とりあえず落ち着こう!」
「キャラだからで許すとでも思ってるの? 俺の彼女だってわかってやってるよね。口説かないで。腹立つから」
樹君の凛とした声に続いて、スタジオ内にざわめきが起こった。