イジワル副社長と秘密のロマンス
視線を泳がせていた千花がぱっと笑みを浮かべた。
「……外見は」
嬉しそうな彼女にもう一言追加すると、一瞬で笑みが凍りつく。そういうところも変わらない。
ほんの数秒、睨み合うように目と目を合わせていたけれど、途中で堪えきれなくなったらしい、彼女が笑った。
「お互い、中身は変わらないね」
「だね」
同意すれば、千花が小さく笑った。
ふわりとした笑顔と穏やかな笑い声に、鼓動が跳ねた。彼女の仕草や声や表情に、妙なくすぐったさを感じてしまう。今年もそこは変わらないらしい。
ちょっとした気恥ずかしさが塗り変わっていく。変わらないことへの懐かしさや安堵が、どんどん大きくなっていく。
一年という、離れていた長い月日がゆったりと繋がっていくような、心の中の何かが少しずつ埋まっていくような、そんな感覚にとらわれる。
彼女の微笑みにつられ、俺も笑っていた。
ぽつりぽつりと他愛無い言葉を交わし始めたとき、さっき千花と話をしていた三人が、彼女のすぐ後ろまで迫ってきていることに気が付いた。
言葉を切って三人を凝視すると、俺の視線に疑問をもったらしい千花が背後を振り返り見た。
その瞬間、女二人が口火を切る。