イジワル副社長と秘密のロマンス
「ねぇ! 千花!」
「千花が待ってた人って、彼!?」
「……そ、そうだけど」
女二人が、千花の両腕にまとわりつく。まとわりつきながら、俺をちらちら見てくる。こういう好奇心のかたまりみたいな視線、不快。嫌い。
「すごい格好良くない?」
「ほんと、超イケメン!」
「ねぇねぇ、彼とはどんな関係なの?」
「まさか、彼氏!?」
「えっ!?……ちっ、ちがうよ。そんなんじゃ」
彼氏というワードに、千花が一気に顔を赤らめた。
その反応に、女二人の後ろに立っている男が眉間にしわを寄せた。そして俺をじろりと睨んでくる。
短髪で色黒。背は俺の方が少しだけ高い。高校生には見えないから、同じ中学生だろう。
攻撃的な視線を向けられ、俺の中で苛立ちが生まれる。もちろん、きっちり睨み返した。
「千花の親戚?」
「それも違うけど」
「えぇ? じゃあどんな関係なのよ!」
食い下がられ、千花が困ったように俺を見た。俺はため息交じりに肩を竦める。
「俺の親戚がこっちに住んでる。で、そのご近所さん」
正直に答えると、「そうなんだ」と女二人の声が重なった。
男がホッとしたようにも見えた。何にホッとしたのか。浮かんだ予想に、また面白くなくなっていく。