イジワル副社長と秘密のロマンス


「ねぇ! 千花!」

「千花が待ってた人って、彼!?」

「……そ、そうだけど」


女二人が、千花の両腕にまとわりつく。まとわりつきながら、俺をちらちら見てくる。こういう好奇心のかたまりみたいな視線、不快。嫌い。


「すごい格好良くない?」

「ほんと、超イケメン!」

「ねぇねぇ、彼とはどんな関係なの?」

「まさか、彼氏!?」

「えっ!?……ちっ、ちがうよ。そんなんじゃ」


彼氏というワードに、千花が一気に顔を赤らめた。

その反応に、女二人の後ろに立っている男が眉間にしわを寄せた。そして俺をじろりと睨んでくる。

短髪で色黒。背は俺の方が少しだけ高い。高校生には見えないから、同じ中学生だろう。

攻撃的な視線を向けられ、俺の中で苛立ちが生まれる。もちろん、きっちり睨み返した。


「千花の親戚?」

「それも違うけど」

「えぇ? じゃあどんな関係なのよ!」


食い下がられ、千花が困ったように俺を見た。俺はため息交じりに肩を竦める。


「俺の親戚がこっちに住んでる。で、そのご近所さん」


正直に答えると、「そうなんだ」と女二人の声が重なった。

男がホッとしたようにも見えた。何にホッとしたのか。浮かんだ予想に、また面白くなくなっていく。


< 248 / 371 >

この作品をシェア

pagetop