イジワル副社長と秘密のロマンス
言えば、また不満げな声を上げる。その声、もう聞きたくない。耳障り。
このままここに30分も拘束されるくらいなら、どんなに疲れるとしても歩いた方がマシ。
我慢できず歩き出した俺の隣に、千花が並ぶ。
「家まで案内するよ」
「どうも」
「それじゃあ、みんなまたね!」
振り返り、千花が三人に手を振っている。無邪気な声につられ俺も後ろを見て、あることに気が付いた。
男が名残惜しそうに千花を見ている。そして俺の視線に気が付くと、また睨みつけてきた。
あの男、千花に気がある。そう再認識し、俺は正面を向いた。
「あの三人こそ、どういう関係?」
聞くつもりなんてなかったのに、俺は千花に質問をぶつけていた。
「同級生だよ」という千花の答えに、「へぇ」とだけ呟いた。
彼女からの返事を聞いて、自分が気になっていたのはそこじゃないと気付かされる。あの三人というよりも、あの男との関係だ。
千花が朝子さんの話をし始めた。「お菓子を大量に作ってる」という話に「憂鬱」だと言葉を挟みながらも、結局俺は、「あの男とはどういう関係?」と聞くことはできなかった。
+ + +
三日に一回くらい、千花は牧田家にやってくる。