イジワル副社長と秘密のロマンス
改めてノートを見て、千花がまた嬉しそうに笑った。
彼女の気持ちが伝わってきたみたいに、俺の中でじわりと温かいものが広がった。
「樹君が描いてくれたままに、ちゃんと形にしたいな……形にしたい。頑張ろう」
決意を固めるように小さく頷いてから、千花が俺を見た。
「ねぇ、樹君……あの、ね。この後さ……散歩終わったら……」
彼女の頬が赤くなっていく。
言葉を選んでいるのか、なかなか話が先に進まないけど、俺は黙って言葉の続きを待った。
「一緒に手芸屋さんに行かない? 材料買いに行くの付き合って欲しいの」
緊張の面持ちで、千花が俺の返事を待っている。
「完成したの見せてくれるなら、付き合ってあげる」
「えっ」
一瞬で千花が凍りついた。予想通りの反応が、面白くて仕方がない。
「でも、上手くできるかどうか自信ないし」
「上手くできなくても別に良い。どうしようもなくなった時は手伝うから、その黒い塊もちゃんと完成させて」
「樹君……わかった! 約束する!」
照れたように千花が笑いかけてくる。俺も彼女に頷き返した。
ちらりと足元に視線を落とせば、身体を伏せていたユメが、丁度顔を上げた。目が合った。