イジワル副社長と秘密のロマンス
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ベッドの上で寝返りを打った。無造作に放り投げてあった携帯を手に取り、時刻を確認する。
午後3時10分。けど、目にした瞬間、表示されていた数字が一つ増え、心の中に苦さが広がった。刻一刻と時間が過ぎていく。
自宅にもある祖母ちゃんが経営する洋服ブランドのカレンダーを見て、俺は目を細めた。
今日は八月最初の土曜日。この町のどこかで夏祭りが行われる日だ。
千花の買い物に付き合い、気まずい別れをしてから、二度目の週末を迎えようとしている。
もしかしたらもう彼女は俺の前に現れないんじゃないかと、そんなことを考えたりもしていたけれど、そんなことはなかった。
気まずく別れたその翌々日には千花が手芸道具を手に、俺に手伝ってと泣きついてきた。
手伝うからとは言ったけど、まさか本当に手伝うことになるとは思っていなかった。
だから少し呆気に取られてしまったけれど、彼女と一緒に何かを作るのは……けっこう楽しかった。
そっちに夢中になっていたから、しばらく俺は彼女の変化に気付かなかった。
変化に気付いたのは、週が明け、水曜日。無事完成させたぬいぐるみを渡しに、千花が部のみんなと保育園に行ったあとのことだった。