イジワル副社長と秘密のロマンス
「森くん、本当にやめて! 樹君に乱暴なことしな……」
手首を掴み、怒りと共にぐっと力を込めると、森の口から苦悶の声が漏れた。俺を掴んでいた手が離れて行く。
その様子を見て、千花は動きを止めた。言葉を見失ったようだった。
「よそ者にずいぶん手荒いことしてくれるじゃん。まぁ、そういう態度でくるなら、こっちも手加減なんかしないけど」
つい笑みを浮かべると、森が口元を引きつらせた。
がむしゃらに俺の手を振り払おうとしてきたけど、そう簡単には逃げさせない。お返しとばかりに、俺は両手で森の胸倉を掴みにかかる。
締めあげると、また森が苦しげな声を発する。顔を歪めている。
「残念」
笑みを浮かべながら囁きかけると、森は怯えた目で俺に言葉の意味を問いかけてくる。
「気付かない? 俺には千花が何も言わないこと。止めようとしないって」
この前もさっきも、森が俺に掴みかかってきた時、千花は乱暴なことはやめてと止めに入ろうとした。
けど、今は違う。成り行きを見守っている。
「どっちが彼女にとって大切な存在なのか、分かるよね?」
彼女の動きが完全に止まっている理由を、自分に都合の良い言葉に変え押し付けると、森は徐々に顔色をなくしていった。