イジワル副社長と秘密のロマンス
素直に頷き返すと、白濱副社長が自分の身体を両手でがしりと抱きしめた。
「それで確か、藤城弟の身体が忘れられなくて、毎晩身もだえてたんだよね」
「違います! 絶対にそんなこと言ってません!」
大きく首を振って否定すると、「違った?」と白濱副社長がとぼけた顔をする。
注文の品を運んできた店員へと、白濱副社長は優雅な笑みを向ける。心なしか頬を赤くしながら、店員は店の奥へと戻っていった。
ちらりと周りに目を向ければ、白濱副社長が女性客の視線を集めていることに気が付いた。一気に居心地が悪くなる。
軽い性格を知っているからか、私は何とも思わないけれど、やっぱり白濱副社長も樹君と同じイケメンの部類に入るようだ。
樹君と、同じ……。
「あの。白濱副社長も樹君と同じでニューヨークにいたんですよね? 樹君はどんな……」
言葉にはしたものの、その先を口にするのを迷ってしまう。
渋面のまま口を閉じた私とは逆に、白濱副社長がまた笑いかけてきた。
「藤城弟がどうしたの?」
話してみなよと人懐っこく微笑みかけられれば、警戒心が少しずつ和らいでいく。白濱副社長に対し、初めて親しみを抱いてしまった。自然と言葉が出てくる。