イジワル副社長と秘密のロマンス
「興味あるのは千花ちゃんだけ。一途にベタ惚れ。予想外の展開。重いなぁとか怖いなぁと思ったら、俺に相談してよ。助けてあげるから。だから連絡先教えて」
「けっこうです!」
「じゃあ、俺のだけ教えておくね」
「それもけっこうです」
ついでにといった素振りで胸元から携帯を取り出した白濱副社長に、すかさず断りを入れた。途端、泣きそうな顔をする。苦笑いするしかない。
白濱副社長は座席の背にもたれかかり、頭の後ろで手を組んだ。
「興味ないって涼しい顔してたくせに、欲しいものは確実に手に入れてくあたり、嫌味に思えてくるなぁ。人に絶望感を与えたことはあっても、自ら味わったことなんてないんじゃないかな。ああ、苦しめてみたい」
「……けっこう屈折してますね」
私の嫌味は聞こえなかったようだ。何かを閃いてしまったらしく、こちらへと身を乗り出してくる。
「俺がいつの間にか千花ちゃんと仲良くなったりしてたら、藤城弟も焦るんだろうなぁ」
「ど、どうでしょう」
ほんの一瞬、樹君の面倒くさそうな顔が頭に浮かんできた。愛想笑いをしつつ、紅茶で喉を潤わせる。
ソーサーにカップを戻すと同時に、身体が強張った。私の手を包み込むように、白濱副社長が触れてきたからだ。