イジワル副社長と秘密のロマンス


「仲良くなりたいな」


甘え声での要求に、手が震えてしまった。突然の行動に思考が追い付かない。

完全に動きを止めてしまった私に、また白濱副社長が笑いかけてくる。


「千花ちゃん」


名前を呼ばれ、ぞくりとした瞬間、座席下の手荷物入れからメロディが鳴り響いた。

それにハッとさせられ、私はすぐさまその手を払い避けた。


「え? 何? 藤城弟? まさかどこかから監視されてるとか? だったら怖いなぁ」


怪訝な顔で店内やら窓の外を見ている白濱副社長に「そんな馬鹿な」と突っ込みを入れ、慌ててバッグの中から携帯を取り出した。


「……あっ!」


バッグの中に入れていたぬいぐるみを一緒に掴み取ってしまった。おまけに、ぽろりとそれを床に落としてしまい、思わず声を発してしまった。

すぐに拾いあげようとしたけれど、目の前の彼の方が、動き出すのが早かった。


「千花ちゃん、何か落としたよ……これって……」


拾った二体のぬいぐるみを、白濱副社長はじっと見つめている。


「藤城弟からのプレゼント?」


言い当てられたことに、頬が引きつってしまう。白濱副社長の眉間のしわが、どんどん深くなっていく。


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