イジワル副社長と秘密のロマンス
頭では分かっているのに、居心地の良さに身を委ねてしまう。
千花が好き。
このまま夏休みだけの関係で終わらせたくない。
彼女を手放したくない。
ずっと、彼女と手を繋いでいたい。
そう思ってしまうのを、俺は止められなかった。
「……はぁ。やっと帰った」
思わずぼやけば、俺の隣りで車に手を振っていた昴じいさんがくふふと笑う。
「そう言うなよ。姉ちゃんお前のこと可愛くて仕方ないんだから。アメリカに帰る前に、孫の顔見ておきたかったんだろ。俺だって、お前が姉ちゃんの所で過ごすことにしていたら、朝子とふたりで顔を見に行ってたぞ」
そう言われてしまうと、文句が言い辛くなる。声には出さず、顔をしかめるだけにした。
昨日の夜。何の前触れもなしに、祖母ちゃんが不満顔で牧田家を訪れた。
祖母ちゃんの所ではなく昴じいさんの所に来てしまった俺に小一時間文句を言い続け、話を聞き流す俺の態度にまた小一時間説教する。
文句を言いたいだけなら来なくて良いのにと思う反面、祖母ちゃんをここに連れてきたのが田代さんだったことに俺はほっとしていた。
そのあと祖母ちゃんは、みんなを引きつれて駅近くのホテルのバーへ行った。