イジワル副社長と秘密のロマンス
「なにこれ……どっかの国の民族に伝わる魔除けの人形?」
「えっ。まさかとは思うけど、わざと言ってるんだよね?」
「本気だけど、違うの? だったら……ゴリラとタヌキ」
「見てわかってよ。黒ネコと白ウサギだよ! けっこう頑張ったんだからね!」
俺もけっこう頑張って予想してみたのだけれど、かすりもしなかった。
「15点」
「えっ…………えーーーっ!? 樹君、採点厳しいよ!」
魔よけの人形だったら80点。黒ゴリラと白タヌキならば25点。黒ネコと白ウサギだと言うなら15点。厳しくなんてない。自分の付けた点数は妥当なところだと思う。
「前々から思ってたけど、千花は手芸向いてない。むしろ壊滅的」
「ひどいっ! そりゃ私だって、薄々気づいてはいたけど……やっぱり、認めたくないっ!」
千花が泣きそうな顔で、俺のことを叩いてくる。笑顔だけじゃない。千花のこういう側面も、どうしようもなく可愛い。
「樹君、しばらくそれ持ってて」
ふて腐れたままそんな命令をし、千花は俺の手からウサギには見えないぬいぐるみを奪い取った。手の中に残ってしまった偽黒ネコを、つい睨みつけてしまう。