イジワル副社長と秘密のロマンス
結局、最後まで甘いものは苦手だと告白できなかった自分に苦笑いする。
ユメに歩み寄り、これまでの感謝を込めてふさふさの身体を撫で回していると、昴じいさんが俺の隣に並んだ。
「元気でやれよ」
「そっちもね」
ぐすっと鼻を鳴らした昴じいさんを「今生の別れじゃないから」と笑えば、「分かってはいるがな」と涙声で返してきた。
しんみりとした空気を笑い飛ばしていると、「なぁ、樹」と昴じいさんが真剣な顔で話しかけてきた。
「お前、ここに帰ってきたのは、千花ちゃんに会うためだったんだろ?」
ドキリとさせられる。波立った気持ちを抑えるべく、俺は息を吐いた。
「……そうだけど?」
「お前が今アメリカに住んでること、この先何年も日本に戻って来ないこと、千花ちゃんには言ったのか?」
「……言ってない」
俺はユメから手を離す。姿勢を正し、昴じいさんと向き合った。
瞳を見つめ返すだけで、俺たちのことを心配してくれているのが伝わってくる。
「言わない」
ゆるりと首を横に振り、思いを言葉にすれば、昴じいさんが苦しそうに眉根を寄せた。