イジワル副社長と秘密のロマンス
距離が離れすぎている上、日本にいつ帰れるかも分からない。
そして、きっとこの先、俺は自分のことに精一杯で余裕が持てなくなる。
千花が泣いていても、そばに行って寄り添うことも出来ない。悲しんでいることに気付けないかもしれない。彼女の笑顔を曇らせてしまうかもしれない。
今の自分では千花を幸せにしてあげられない。
本当に大切な人だからこそ、中途半端に付き合っちゃいけない。
「千花」
そっと腕を解き、互いの指を絡めてから、俺は千花と視線を合わせた。
瞳に涙が浮かび上がらせた彼女を見つめながら、思いを強くする。
千花と離れるこれからの時間は、絶対に無駄にしない。
いつか必ず、千花のすべてをしっかり受け止められるくらい、大きな男になってみせる。
「また会った時、千花が寂しく一人でいたら、俺がもう一度付き合ってあげる」
俺の言葉に千花が目を瞠った。涙をまた一滴落として、花のように可愛らしく笑う。
「またね。元気で」
「うん。樹君も」
またいつか、千花とは巡り合える。
その時は必ず幸せにするから。
繋がった手にぎゅっと力を込めてから、俺はゆっくりと彼女から手を離した。