イジワル副社長と秘密のロマンス


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新しい環境に身を起いてからずっと、俺は必死だった。

学校生活に慣れると、すぐさまAquaNextと向き合い始め、たくさんのことを頭に叩きこんだ。

大学へと進み経営学も学び始めれば、さらに深く、俺は仕事にのめりこんでいった。

父もしっかりと経営を軌道に乗せ、店舗数も徐々に増やしていく。飛び級を重ねつつ大学を卒業し、やっと父のもとで仕事に専念できるようになれば、あまり間を置くことなく、俺はいくつかの店舗を任されるようになった。

前だけを見て進んでいくべきだと頭に刻んでいても、ふとした瞬間、心が後ろを振り返ってしまうことが何度もあった。

千花にはもう恋人がいるかもしれないと、寂しさや嫉妬でどうにかなってしまいそうになることもあれば、もう千花と会えないかもしれないという恐怖に襲われることもあった。

それでも結局は、俺にはなりふり構わず進んでいくしか、道はなかった。

男として成長するために。一秒でも早く、父にも兄にも、そして祖母に認められる人間になるために。そしてもう二度と彼女の手を離さないで済むように、俺は必死に前へ進んだ。


アメリカで生活し7年が過ぎたあたりから、祖母が兄と俺をたびたび日本へ呼びつけるようになった。

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