イジワル副社長と秘密のロマンス

熱を帯びた樹君の瞳がわずかに細められた。樹君の色気にどきりとさせられ、思わず顔をそらしてしまった。

鼓動が速くなっていく。身体も熱くなっていく。


「わっ、私は、本命の女性がいる人には迫りません!」


彼の言葉に流されて、勘違いして、このままだと自分だけがその気になってしまいそうな気がした。

ちゃんと確認しなきゃ。現実を見なきゃ。

大きく息を吸い込んでから、勇気を出して、彼へと顔を向ける。

すぐに綺麗な瞳と視線が繋がった。気持ちが怯みそうになるのを、なんとか堪えた。


「あの、さ……樹君って津口可菜美さんと……」


声が震えてしまった。


「付き合ってるの?」


樹君に彼女がいるのならば、遠い昔の約束は無効になる。

それを受け入れて、新しい一歩を踏み出さなくちゃいけない。

……でも……できるのかな。私は樹君から、離れることができるのかな。

彼に好きな人がいるんだと思うと、こんなにも胸が苦しくなるのに。


「千花」


名前を呼ばれるだけで、ドキドキしてしまう。彼から目が離せない。

不安で心を揺らめかせながら、彼の次の言葉を待った。


「勘違いして欲しくないんだけど」



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