イジワル副社長と秘密のロマンス

聞かれて、私は眉根を寄せた。


「ほぼ初対面だし、どうもこうもないよ。今日はね、友人夫婦と食事する予定だったの。だけど、いざこっちに帰ってきたら、なぜか袴田さんもいて、そのまま四人で食事することになって」


思い出したら、だんだんと腹が立ってきた。思わず言葉に力が入ってしまう。


「それでね! 途中で友達ふたりが消えて、ほぼ初対面なのに袴田さんとふたりっきりにさせられて、話にもついていけなくて……袴田さん、副社長副社長ってうるさいんだもん。そりゃ、凡人からすると、すごいなぁとは思うけどさ、あんなに自慢たっぷり言われると、うんざりしちゃうよ。副社長って言葉、当分聞きたくない」


樹君に「ふうん」と呟かれ、はっと我に還った。

ヒートアップしてしまった私を、樹君が頬杖をついたままじっと見つめてくる。

彼に表情がなさすぎて、気分を悪くさせてしまったかと焦ってしまう。


「ちょっと熱くなっちゃった。ごめんね、愚痴なんて聞かせて」


身体を小さくさせて詫びると、樹君がふっと口元に笑みを浮かべた。


「別に。あの男とののろけ話聞かされるよりは、全然良いけど? それに……今は千花の話を聞きたい。少しずつでいいから、たくさん聞かせて?」



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