イジワル副社長と秘密のロマンス
彼の瞳に優しい色が灯る。声音の温かさが心に染み込んでくる。
離れていた十年ぶんの時間を、埋めようとしてくれてる。それが嬉しくて、涙が出そうになる。
「なんでも聞いて! なんでも答えるから!」
「じゃあ、とりあえずスリーサイズ教えて。ついでに体重も」
「そこっ!? 絶対教えない! 教えるわけがない!」
「嘘つき」
言い合っていると、さっきまでシェイカーを振っていた店員さんが私たちの前に戻ってきた。
樹君の前には琥珀色した強そうなものを、私には桜色したお酒をそっと置いた。
可愛らしい色合いにさっきのまでの怒りも忘れ、思わず目を輝かせてしまう。
「乾杯しようか」
「うん」
グラスを手に持ちって、上半身を彼へと向けると、樹君もグラスを掴みった。
けれどそれは、すぐにテーブルの上へ戻っていってしまった。
「やっぱり待って。その前に一つ聞かせて。千花は今、付き合ってる人いるの?」
「いないよ。私に彼氏がいたら、袴田さんと引き合わせようなんて、友達も思わないでしょ?」
「そう言われてみれば、そうか」
樹君が小さく息を吐き、口元に笑みを浮かべた。