イジワル副社長と秘密のロマンス

店に並べられたアイテムの一つ一つが、私にはキラキラと輝いて見え、そんな空間で働けていることが、とっても幸せだと思っている。

もちろん仕事は甘くない。接客業だから立ち振る舞いや言葉遣いにも神経を使うし、立ち仕事だから体力的にきついし、繁忙期なんて家に帰ってベッドに倒れこむこともざらにある。

それでも自分が勧めたものをお客様が気に入ってくれて、長く愛用してもらえたりすると、とっても嬉しい。

この仕事が大好きである。今の私の生き甲斐である。

袴田さんに負けないくらい、仕事への熱い思いを語ってしまったけど、樹君は途中で興味を失う様子も話を遮ることもなく、真摯に話を聞いてくれた。

自分は仕事のことについて切々と喋ってしまったけど、樹君はやっぱり職種を教えてくれなかった。

そのことに関してはブツブツ文句を言ってしまったけど、樹君との言葉のやり取りはとっても楽しかった。

彼の隣は居心地がいい。このままいつまでもずっと、彼と話をしていたい。



そんなことを思った矢先、私の携帯にメールが入った。母からだった。


“こっちに帰って来てるの? 家に泊まるなら、そろそろ帰ってきなさい。遅いと寝ちゃうわよ”



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