拾われた猫。
「さ、山南さん!
これはそういうのではなくて…」
「それでは私も『敬助』と呼んでもらいましょうかね」
クスクスと笑いながら過ぎて行った。
本気か冗談か分からないが、呼ばせてもらうことにした。
「…で、では俺は行く」
まだ少し赤みの引かない頬を隠すように通り過ぎて行った。
私も小姓らしくトシの部屋に向かう。
「トシ、入ってもいい?」
障子越しに声をかける。
中から他2人の気配がする。
「…入れ」
渋々と言いたげな声がしたけど、構うことなく開こうとした。
が、開く前に勝手に開いた。
「この子やね!
可愛らしい子やのに、男装しとるのが勿体ない」
可愛らしい女の人が私を見るなり、嬉しそうに笑った。