肉食系御曹司の餌食になりました

「怒ってない。なんで私が支社長に怒らないとなんないのよ。怒るとしたら……自分に対して。フラフラ気持ちを揺らしてないで、しっかりしなさいと言ってやりたい」


自分を叱りながら、なぜ、こんなにも心が揺れるのだろうと考える。

支社長が素敵な男性だという認識は前々から持っていたが、それは客観的で事実認定のようなものだった。

しかし攻められっ放しの今は、大人の色気に翻弄されて、ドキドキと主観的な魅力も感じている。

Anneにも私にも、恐らく他の女性にも迫るいい加減な男だとしても、彼はやっぱり魅力的。

彼の攻撃に耐えていられるのは、あんないい加減な男に落とされてたまるかという意地と、Anneの正体が会社バレするのは困るという現実で、そのふたつが辛うじてストッパーになっている。

でも、それもいつまで持ち堪えられるのか、怪しいところだ。

抵抗することに疲れて、『もうどうにでもなれ』と流されそうな危うい自分が、かなり不安……。


二杯目のワインも半分を一気に飲んで息をつき、『聞きたいけど、聞かない方がいいのかな』と迷ってそうな顔の智恵に支社長との関係を教えた。


「二回キスした。地味な私で一回、アンで一回。後は支社長室に呼ばれる度に迫られてる感じ。それだけ」

「そ、それだけって……かなりすごいけど!」

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