サヨナラの行方



帰ったら、何がなんでも離婚をする。

未だに誰からも連絡がないということは、状況に変わりはないということだから。

別れたら悠月を手に入れるとか、そういう話しではない。

独りになってそばにいるだけで、それだけでいい。



「戻りました」



色々考えているうちに、時間が経っていたらしい。

悠月が戻ってきたのは、1時間も経ってからだった。

戻ってきた悠月の手には、キャリーバッグがあった。



「連絡して持ってきてもらったんです。
向こうに帰るにしろ、ここにいる以上着替えとかは必要ですから」



しれっと答えたけど、俺は嬉しかった。

頑なに嫌がってはいたけど、帰るのも前向きに考えているらしい。

だけど、ここで無理やり押してもダメだ。

悠月の意志は固い。

ここで無理に押してしまうと、逃げられてしまう可能性がある。

ここはゆっくり、待つのみだ。




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