サヨナラの行方



それから、少し奇妙な同居生活が始まった。

さすがにシングルで過ごすのはキツイため、ホテル側に頼んでツインの部屋に変えてもらった。

昼間は何をする訳でもなく、たまに話すぐらいでゆったりと過ごした。

夜も別々のベッドに入り、手を出すこともなく眠りにつく。

そして、朝起きて隣の悠月がいるのを確認して安心していた。


悠月は、俺の頼みを受け入れたらしく、ホテルから出ることはなかった。

部屋から出るのは基本、食事をする時ぐらい。

その食事だって、ホテルのレストランで取るから外には出ない。

そもそも、簡単に外には出られないのだろう。

レストランへ行く時でさえ、ちょっとした変装はしている。

ウィッグをつけて、度がない眼鏡をしている。


改めて思う。

ここまでして、一体何を守りたかったのだろう。




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