サヨナラの行方



「課長は結婚している身だから、絶対言えない。かと言って、誰にでも相談出来るものでもない。だから、誰にも言えなかった。一瞬、おろすことも考えたけど……。
悩んでいるうちに、中絶期間も過ぎた。それと前後して、和樹とまこちゃんにバレてしまった」


「上手く隠していたよ。幸い、悪阻はなかったみたいだし。食事とかも普通だった。
でも、さすがにお腹が目立ってきたから。課長さんと悠月の関係は知っていたし」



少しだけ、課長を睨むようにして和樹が言う。

当時、凄い怒っていたからな。



「とりあえず、その時に悠月から改めて全てを聞いた。
中絶期間も過ぎていたし、悠月も産む気でいた。だったら、協力するしかない。
そこで、一つ提案したんだ」


「それが、死ぬことだった。
私は課長に事実を伝えるつもりはなかったから。それを受け入れて、こっそり産んで外では弟夫婦の子として育てると決めたんです」


「何で、俺に言うつもりはなかった?」


「え?だって、結婚しているのに、言ってどうなるんですか?」




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