不器用男子に溺愛されて

 何度か話したことがあるかのような発言と敬語を使っていない辺り、森田さんと咲ちゃんは仲が良いのだろうと私は認識していた。その時。

「ねぇ、咲ちゃん、そろそろ付き合わない? 今日はいいでしょ?」

 森田さんがそう言って、咲ちゃんに向けウィンクを披露した。

「はっ……!咲ちゃん、森田さんとそういう関係なの⁉︎」

「いや、違うから!この人はストーカーよ、ストーカー!ああ、もうっ!あんたね、本当何言ってんの。頭おかしいの? 私達今それどころじゃないんだからさ、本当、空気読んで」

 咲ちゃんが眉間にしわを寄せて森田さんを睨みつけた。咲ちゃん、こんな怖い表情もするのか、なんて、私は呑気に考えた。

「あはは、ごめんごめん。分かってるよ。小畑ちゃん、堀川と別れたんだって?」

「え? なんで、知っ……」

「俺、これでも一応堀川とかなり仲良いもんで」

 堀川の社内唯一の友達だからさ、と言って悪戯に笑う森田さん。確かに、理久くんと森田さんが何度か話してるところを見たことがあったなあと思い出し、またぐらぐらと揺れ出す私の心臓。

 私は、二人にバレないよう少しだけ俯いて唇を噛み締めた。

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