不器用男子に溺愛されて
店をあとにした私たちは、購入品を両手に最後の目的地へと向かった。
最後の目的地というのは、スポーツジム。ここで一汗かいて一緒に痩せようという咲ちゃんが提案したのだ。
「よし、まずはランニングマシーンからね!行こう、みや子!」
「うん!頑張ろう!」
私達はスポーツジムに来る前に慌てて購入したお揃いのジャージに着替えるとランニングマシーンにあがり、ランニングを始めた。
「ねえっ、みや子」
「なに?」
「こんな事、聞くのもどうかと思うんだけど、つらくないの?」
運動不足が仇となり、早くも息が上がり始める私たち二人。お互いに息を整えながら途切れ途切れになる言葉を交わした。
「どっちかというと、つらい、かな。だけど……それ以上に、理久くんともっと一緒にいたいから。だから、頑張るしかないって思ってる」
少し前の私なら、間違いなく一人で抱え込んで悩み続け、最終的には耐えられなくなり一方的に別れを告げる事になったと思う。だけど、今は違った。
曖昧で、不器用で、分かりにくい。そんな理久くんの愛を確かに感じ取ることができた今の私は、間違いなく前よりも前向きだった。
「それに、ちょっとだけ、元カノさんと家に入ったのには理由があるんじゃないかなって思ってるんだ」
理久くんの不器用な愛を感じれた事で前向きになれた。そして、少しだけポジティブにもなった。そんな私は、まだ浮気とは思えないでいるのだ。