最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。

「動くな、揺れる!」

「……へ?」


揺れる?

もしかして……。


「高いところ、苦手なの?」


おそるおそる尋ねたら、多賀宮くんのため息が、首筋に触れた。


「……高所恐怖症」

「ええっ……!」


ジェットコースターは平気なのに、観覧車はダメなの?


「ジェットコースターは一瞬だし、高さよりも速度だし、面白いからいいんだよ。でも観覧車はダメだ。高いだけで……落っこちる気がする」

「そ、そうなんだ……?」


速いのはいいとか、面白いのはオッケーとか、謎の理論だけど、多賀宮くんの中ではきちんと恐怖の住み分けができているらしい。

変なの……。


「あの、なんか、誘ってごめんね……観覧車……」


抱きしめられているから、私の頭は彼の肩のあたりにくっついたまま。

彼が着ているシャツのボタンはひとつ外されているから、くっきりとしたきれいな鎖骨がよく見えた。
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