最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。

「いや、俺がなんでもいいって言ったんだしな……」


そして多賀宮くんは私を隣に座らせると、改めて正面から背中に腕を回した。


残念ながら、抱きしめてるっていうよりも、しがみついてるって言うのが正しいみたいだけど……。


「まぁ、お前に捕まってるから、もう大丈夫だろ」

「……うん」


私も、なんの理論も確証もないけど、うなずいた。


「大丈夫だよ」


また、脳裏にあの夜の、桜に溺れた多賀宮くんの姿が浮かんだ。


強烈な体験だったけど、あまりにもきれいで、現実味がなくて、時々あれは夢だったんじゃないかって思うような、多賀宮くんのあの姿。


でもあれは夢じゃない。

確かに私と彼の間に起こった、現実なんだ。


「大丈夫。多賀宮くんになにがあっても、私が多賀宮くんを守るから」


彼の広い背中に腕を回す。
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