王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
エドワードは内郭ですら自由に歩かせてはくれない。
ラナの食事に毒が仕込まれていたということは、この城内だとて安全ではないというのが彼の主張だ。
それにしたって彼女のお気に入りの城門塔へ上ることくらいは許可してくれてもいいのに、とラナは思う。
あそこは見晴らしがいい代わりに外からも狙われやすいし、王女が定期的にあそこへ通うことが知られればそれが敵のつけいる隙になると、エドワードは首を縦には振らなかった。
大部分ではラナに同情し、味方してくれるキティとルザも、さすがに王太子の厳命には逆らえない。
仕方のないことだとはわかっていても、この生活がいつまで続くのかと思うと、ラナは息の詰まる思いがした。
(だって、これではきりがないわ。たとえバルバーニの件が解決しても、殿下が危険だと思うことがあれば、私はいつまでたっても自由になれないもの)
王女といえども、スタニスラバの開放的な宮殿でのびのびと育った彼女には、耐えがたい苦行である。
囚われの姫君はもう一度深々とため息を吐いた。
そのとき、部屋のドアがノックされ、ライアンが入室してきた。
エドワードが国王になった暁にはおそらく宰相に任命されるであろうこの男も、近頃はいつにも増して忙しくしている。
「殿下、あちらから書簡が届きました」
ライアンは大股で歩いて部屋の奥にあるエドワードの机へ近づき、途中でソファに足を投げ出しているラナに気がついて目を丸めた。
わかってはいたことだが、まったく普通の王女らしくはない彼女である。