王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
(私は殿下に好きだと言ってもらってから、ちょっと欲張りになっているわね)
エドワードがラナに注いでくれる愛情はいつでもあたたかくて、彼女の腕から溢れてしまいそうなほどだった。
それをいいことに、ラナは彼に甘えているのだ。
ラナにキャンベルの村人のような自由がないことは承知していて、城の中でおとなしくしているのが王女の役目だと言われれば、彼女はそれに従わなくてはならないだろう。
けれどエドワードは、あくまで彼の希望でラナを閉じ込めているのだと言ってくれる。
だからラナもひとりの女性としてわがままが言えたし、喧嘩もできた。
ラナは良き妃でいなくてはならないと思い直し、もうすぐ夫になる男の胸から顔を上げて笑顔を見せた。
「ごめんなさい、殿下。私も聞き分けのない子どものようでした。殿下のお仕事が落ち着いたら、どうか私をまた外へ連れ出してくださいね」
ところがエドワードは訝しげに片方の眉を引き上げ、彼女の作り物のように美しい微笑みが浮かんだ頬に手を触れる。
そのまま白い頬をムニッと摘むと、不満そうに鼻の頭に皺を寄せるのだった。
「こら、作り笑いはよせ。俺はそんな顔が見たいのではない」
ラナはびっくりして目を丸める。
彼女の完璧に近い偽りを見抜いた者が、かつて家族以外にいただろうか。
エドワードだってほんの数日前まではそれとわからなかったはずなのに。
「仕方がない。俺の好きになった娘は、とんでもないお転婆な姫君だからな。外出を許可して差し上げよう」
「でも……いいのですか?」
ラナは信じられない気持ちで呟くように言った。