王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

けれど彼女の青い目はキラキラと輝きを取り戻し、頬には赤みがさしている。

それはエドワードの大好きな表情だったので、彼は目尻を優しく下げて笑った。


「ああ。もちろん、護衛を巻くような真似はしないでくれよ」

「エドワード様! 嬉しい!」


ラナが喜んで彼の首に腕を回して飛びつき、エドワードはその身体をしっかりと受け止める。

それからエメラルドの瞳をイジワルに細めると、ラナの頬に音を立ててキスをした。


「だが夫のことを好きではなくなるなどと言った罰に、もう少し俺と戯れてから行きたまえ」


ラナはそのままソファに押し倒され、しばらくエドワードの心ゆくままにかわいがられることとなった。






ラナはキティとルザと数人の護衛を伴い、2度目の城下町を散策している。

今日はエドワードの指示で地味なネズミ色のマントを着せられていたし、お忍び用のヘッドスカーフを被らされていたけれど、そんなことでラナの気分は沈まなかった。

街の目抜通りを歩いて少しずつ王城から遠ざかった彼女は、そこで荷物をまとめている隊商の一行を見つけた。

以前もここで出会った、黒髪のマクシムとシェノールたちである。


「おや、王女様じゃないか」


ラナに気づいたマクシムは、気安く手を振って挨拶をしてくれる。

彼女は慌ててマクシムに駆け寄って、その手を下ろさせた。


「ダメよ、マクシム。私は今日、ここへ忍んで来ているのだから」

「そうなのかい? あんまり城に篭っているんで、もうお目にかかれないのかと思ったよ」


彼は白い歯を見せて屈託のない顔で笑う。

マクシムの隊商は今夜にもアルレオラを発つ予定なのか、彼の後ろにある荷馬車にはいっぱいの荷物が積まれて、その上から古びた布をかけられていた。

彼らはナバの国内を馬で移動していたらしく、王都を出たらラクダに乗り換えて、さらに西を目指すのだそうだ。
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