王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
ラナは目をまん丸にして海に浮かぶ船を見つめる。
暗い海の上には、世界最先端の科学技術で眩しいほどの明かりを灯し、彼女たちを待っているスタニスラバ海軍の軍艦が3隻も停泊していたのだ。
甲板からは多くの海兵がこちらに手を振っていて、中にはナバの騎士たちもちらほらと混ざっているようだ。
エドワードたちを追って岬へ出てきたフベルトスが怯えながら威嚇するように声を上げる。
「なんだこれは! 侵略行為だぞ、戦争を起こしたいのか!」
彼は次にエドワードと目を合わせると殺されてしまうので、親切なライアンが答えてやった。
「指揮官のバズ王子は、妹夫婦を迎えに来ただけらしいですよ。なんでも、こちらへ旅行に来ていると聞いたそうで。まあ、あまり趣味のいい旅先ではありませんでしたね」
エドワードはびっくりしているラナの手を取り、彼女の顔を覗き込んで優しく微笑んだ。
ラナにとってみれば、もう二度と会えぬかもしれないと思っていた故郷の者たちとの再会だ。
少々早すぎる再会ではあったかもしれないが、この3週間で彼女の身には言い尽くせないほど様々なことが起こった。
「さあ、行こう。義兄上が待っている。一緒にナバへ帰るんだ」
ようやくナバへ帰ることができる。
彼女の大好きな、情熱と風車の国へ。
ラナは嬉しさで泣き出しそうになりながらエドワードを見上げ、大きく頷いた。
「はい!」
そしてなにを思ったのか、そのまま岬の端に向かって走り出す。