王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです




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そのような様々な経緯を知らなぬナバの城下町の人々でさえ、この日は特別なお祭り気分で目を覚ました。

今日はナバ王国の王太子エドワード・バロンと、スタニスラバ王国の王女ラナ・カリムルーが、めでたく結婚式を挙げる日だ。

国の英雄である騎士の姿はきっといつになく立派で精悍に見えることだろうし、金色の髪をした妖精のような少女はこの上なく美しいだろう。

王都は朝から踊りや音楽で賑わう中、皆が城の広場へ向かう準備をしていた。

そんな陽気なアルレオラの街を、初めて異国へやってきたバズとヴィートは興味深そうに歩いて回る。

彼らはせっかくラナたちをこちらへ送り届けたついでなので、王女の花嫁姿を見届けていくことにしたのだ。

ラナの誘拐の知らせが届き、なぜかスタニスラバ海軍の統帥権を持った男に呼ばれて国を出たときは本気で妹を連れて帰ろうと思っていたバズだが、案外すぐにエドワードやこの街のことを好きになった。

心配している両親に妹がいかに大切に愛されているかを伝え、さらに異国の様子というのも教えてやろうと思っている。

世界情勢が大きく動き出している今、絶海のスタニスラバ王国とていつかは国を開かなくてはいけないだろう。

そのとき、きっと頼りにできるのはナバのような国なのだ。

街の一角で歓声が上がり、王太子夫妻の結婚を祝う大きな旗が揚げられた。

それを立ててやったのは赤いチュニックに黒のブリーチズ姿のバルバーニ兵である。
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