王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
彼らは先日皇帝となったヴィルマーの方針で、無理な侵略による領土拡大をやめ、これまでの行いで信頼を失った国に傭兵として出向いて様々な人助けを行っていた。
自分たちで放った赤いオオカミを捕獲したり、農作業を手伝ったり、ときには子どもたちの遊び相手になったりもしている。
まだまだ彼らを受け入れようとしない国も多いが、少なくともナバの国民たちは、少しずつ彼らを見直していこうという気持ちになっているのだった。
「ほら殿下、なにかお声をかけて差し上げてください」
城の一室では、ぽかんと口を開けて固まったエドワードがキティに小突かれている。
しかし彼は息を吸っては吐き出すばかりで、目の前の花嫁になんと言ったらいいのか見当もつかないのだった。
「エドワード様はとっても素敵です。私、殿下に初めてお会いしたときからそう思っていたって、前に言ったことがありましたっけ」
純白のドレスを身に纏ったラナは、王太子の正装をしているエドワードを見てはしゃいだように言う。
王女はスカートがふんわりと広がった白い衣装に、繊細なレースでできたヴェールを被り、姫君のティアラを頭にのせているのだ。
プラチナブロンドの髪はヴェールに包まれ、きらきらと薄く輝いているように見える。
妖精のように可憐で美しいと、エドワードはそればかりを思っていた。
花嫁の手を取り、それをそっと引き寄せる。
「それは嘘だな。聞いたことがないぞ。お前は最初、俺を嫌っていたじゃないか」
「そうでしたか? エドワード様に恋をする以前のことなんて、もう忘れてしまいました」
ラナがそんなことを言って幸せそうに微笑む。