王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

それでも彼の馬に乗せてもらって見るナバの城下の街並みは、この上なく素晴らしかった。


「まあまあ、盗賊が? それは恐ろしい思いをなさったことでしょう。ご無事でなによりでございます。それで殿下が御自ら腕の中でお守りになってお帰りでしたのね」


マノンはふたりに怪我がないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろした。

それにしても、珍しいこともあったものだ。

たしかに金髪碧眼の人形のように愛らしい王女ではあるが、乙女心をちっとも解さないあのエドワードが、わざわざ胸の中に閉じ込めて溺愛したくなるほど骨抜きにされているなんて。

男とは、守るものができるとこうも変わるのだろうか。

エドワードは彼女が胸中で考えていることを察し、口の端に笑みを浮かべた。


「ああ、まあな。そういうことにしておく」


彼はラナを野盗から守るためにそうしていたのではなくて、ただふたりで馬上からの景色を楽しむためにしたのだ。

それらを見てくるくると表情を変える彼女を、もっと喜ばせてやるために。

もちろん、もしも港でのようなことがあれば、婚約者として王女を守るつもりではあったが。

エドワードはローブの裾をたくし上げているお転婆な王女の腰に手をやり、彼女を軽々と地面の上に下ろした。


「きゃあ!」


自ら飛ぶつもりだったラナは、びっくりして目を丸くする。

男の腕に難なく持ち上げられてしまうことがなんとなく悔しくて、背の高いエドワードを見上げてすかさず抗議した。
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