王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

「聞こえていますよ、殿下。まったく。親睦を深めろと申したのは失敗でした」


エドワードと共に馬を走らせてきた近衛師団の副団長の眉間には、今朝城を出たときよりも皺が一本増えている。

王子だけでも持て余しているというのに、また手のかかりそうな主人が増えてしまった。

子猫よりも重たいものなど持ったこともない令嬢というのは、完全にライアンの見当違いであったと、厄介な誤算にひたすら痛むこめかみを揉むしかないのであった。




■4■


ナバの王城へやってきた日の翌朝、ラナはすっきりとした気持ちで目を覚ました。

顔を洗い、髪を整え、部屋に届けられた大量の衣装の中からドレスを選ぶ。


「昨夜になって、王太子殿下が突然こんなにたくさんのドレスを送ってくださったのです。ラナ様にはこのような色のお召し物が似合うはずだって」


灰色の目をした侍女のキティが、目ぼしいものをいくつか広げながら言った。

彼女は王女つきの侍女の中では一番ラナと年が近く、この国の大半の者と同じように茶色っぽいダークブロンドの髪をしている。

エドワードが寄越したというドレスは様々な種類が取り揃えられていたが、ラベンダーやローズピンクやサイネリアのような、淡い色が多いように思えた。

ナバ王国でどのようなものが好まれているのかまだラナには見当がつかなかったので、今日のところはキティに見繕ってもらうことにする。

ただでさえ異なる文化の国なのに、他国との国交を持たないスタニスラバの価値観がどこまで通用するかわからない。

エドワードの選定ならどれを着ても間違いではないことは確かだが、色やデザインが与える印象は微妙に変わってくるだろう。
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