王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

「そうですねえ。ナバ王室の公式カラーは青なんです。今夜の歓迎会ではきっと殿下と揃いで真っ青のものをお召しになられるでしょうから、今はちょっと違うものにしましょう」


程なくして、ラナの好みを取り入れながらキティが衣装を一式選んでくれた。

ふんわりと袖の広がったボディスを被り、パステル調の空色の前開きローブを着る。

中のクリーム色のペティコートには繊細な刺繍が施されていて、レースの付け襟も胸元に当てたピエス・デストマも、ナバの社交界で流行りの最高級のものだ。

エドワードがラナのために取り揃えたそれらは、プラチナブロンドの美しい姫君にとてもよく似合っている。

ラナは淑女のたしなみとして絹の手袋は受け入れたが、扇を持つことは断った。

場と身分に合った装いがあるということは彼女もしっかりと心得ているものの、基本的に堅苦しいものは好まない。

笑ったり泣いたり怒ったりする表情を扇の下に隠すくらいなら、ラナはそれらを人形のように端正な小さな顔に一切浮かべないという技術を持っていた。

身支度を整えたあとは、礼拝堂で祈祷をし、彼女のためだけに用意された朝食をとった。

昼過ぎには歓迎会のための準備を始めなくてはならなかったが、それまで少し時間がある。

裁縫をするかお茶にするかと問われたので、ラナはぜひ城の中を散歩したいと提案した。


「では、近衛兵の方をお呼びしましょう」


キティが頷き、部屋の外に声をかける。

ラナには若干不満なことだったが、彼女が城内を歩き回る際は必ず護衛をつけるようにとエドワードにきつく言い聞かされている。

刺客の侵入や王城内の覇権争いとは無縁だった、海国スタニスラバとは違うのだと。
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