王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

「探検は許可するが、内城壁から外へは出るなよ。お転婆な妃は俺と一緒でなくては門を出てはいけない」


エドワードの命令口調に、ラナはすかさずバラ色の唇を尖らせて抗議する。


「ですが殿下、私は言いつけ通りにちゃんと護衛を……」

「きみが俺に逆らう権利はないぞ、姫君」


塔の上の王女はムッとして口をつぐみ、そっぽを向いた。

彼の言い方はなんだか横柄でイジワルなのだ。

そんなふうに言われればラナが怒ることも、彼の妻として反論はできないということも、ちゃんとわかって狙っているのではないかと、ラナは思う。

(殿下はどうして私を不機嫌にさせたいのかしら)

ラナが歯向かえば歯向かうほど、彼はなぜか嬉しそうな顔をする。

彼女の拗ねた顔を見てとりあえず満足したエドワードは、次に笑った顔を見るべく餌をちらつかせた。


「これからキャンベル辺境伯と会談なんだ。今日は忙しくてムリだが、数日以内に城下を案内してやる」


エドワードは彼の目論見通りにラナが屈託のない笑顔で頷くのを確認すると、喉の奥で笑いを堪えつつ、上機嫌に城門をくぐっていく。

この王太子の好意の示し方も大概ガキのようだと、ライアンは彼の斜め後ろを歩きながらこっそり内心で毒づいていた。






その日の夜、王城でラナの歓迎パーティーが開かれた。

3週間後に迫った彼らの結婚式に向けて、未知の海国の王女をお披露目するのが今夜のメインイベントだ。

王太子に連れられて舞踏の間に現れたスタニスラバの美しき王女に、集まった誰もが息を飲んで視線を奪われる。

ラナはエドワードの見立てで、目の覚めるような青いドレスを身に纏っていた。
< 29 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop