王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
ゆったりと結い上げられたプラチナブロンドの髪は艶やかで、北の大陸では目にしたこともないような色に輝いている。
彼女をエスコートする青年も、王立騎士団の一等騎士にのみ許された礼服を着ていて、彼が国の王子であると同時に、どれほど精悍な騎士であるかを人々に思い起こさせた。
エドワードの左腕に手をかけて広間への階段を下りるラナは、青い目を縁取る長い睫毛をしおらしく伏せたまま、こっそり彼に囁きかける。
「殿下は社交界の女性たちの間でとっても人気の高い紳士なのだとうかがっておりましたが、男性にも好かれておいでなのですね。故郷の舞踏会でも、これほど視線を集める殿方はおりませんでした」
エドワードは他の者には気づかれないほど微かに鼻の頭に皺を寄せた。
「勘弁してくれ。皆、俺ではなくてきみを見てる」
ふたりはまず王家の紋章の掲げられた奥の壁の前まで進み、そこで待つ国王に頭を下げた。
胸の前で手を組み合わせ深く膝を折る隣国の王女に、バレリオ国王は満足そうな微笑みを浮かべる。
彼はエドワードとラナの婚約を提言した張本人だ。
内陸国であるナバに港をもたらしたというだけで大きな功績であるが、バレリオはその上秘められた海国スタニスラバの王女を息子の妃として迎えることに成功した。
すでに賢王との呼び声も高く、エドワードと同じブルネットの髪には白いものが混じり始めてはいるものの、理知を持った鋭い双眸には威厳がある。
そのバレリオも今は、息子に似合いの姫君を妻として選んでやれたことを純粋に喜んでいた。