王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
「ようこそナバへおいでくださいました。息子を支え、良き妃となってやってください。きみたちふたりが夫婦として幸せに暮らし、この国を更なる平和へ導いてくれることを望んでいる」
エドワードはまだ若いが政にも才覚があるようだし、ラナには彼にふさわしい聡明さが備わっているように見受けられる。
国王陛下の祝辞を素直に受け止めたラナは、微笑を浮かべたままもう一度礼をしてバレリオの前から辞した。
実を言うと、王太子は今夜の歓迎会のことをほんの少し気がかりに思っていたのだ。
エドワードは婚約者の飾らないお転婆さが嫌いではなかったが、果たして彼女が公の夜会でその身分にふさわしい振る舞いをできるのか心配なところではあった。
しかしラナの所作はひとつひとつが美しく優雅で、はしたないところや無作法な振る舞いなど探そうと思っても見つからず、城門塔に上って無邪気にはしゃいでしまうような彼女でもさすがは王女なのだと感心する。
彼らが国王への挨拶を終えてすぐ、ラナたちの周りにはエドワードの知己である騎士団の青年たちが集まってきた。
王都にいる騎士たちはほとんどが貴族の出身で、エドワード自身の気質もあり、彼が王位を継ぐ者として二十歳で退団した今でも親しみを持って接してくる者が多い。
「まさか王太子殿下がこのように可憐な姫君を妃にお迎えするとは」
「殿下は乙女心を知らぬお方だから、並大抵の女性では泣かせて嫌われることになると踏んでいたのだが」
「西の国境の山賊たちを成敗しに行ったときは、殿下の勇猛さに女よりも男が惚れたものだ。そういえば奴らはあれから悪さをしなくなったな」
「村に下りてきた峡谷のオオカミたちを退治しに行ったのに、なぜか殿下だけやけに好かれて、手懐けて従わせてしまったこともあった」