王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
アメジストの双眸は落ち着きと気品に満ちていて、ラナよりいくつも年上ではないはずなのにとても淑やかで大人びた令嬢でだったので、ラナは思わずジッと彼女を見つめてしまった。
切れ長の目の下にある小さなホクロや、大きく開いた襟ぐりに覗く色の白い肌など、蠱惑的なのに品があるとはどういうことだろう。
(とっても綺麗な人ね。この方が辺境伯の後を継いで領地を治めるのかしら)
彼らは今朝ラナが城門塔の上から見たふたりで、エドワードが昼の間会談を持っていた者たちである。
本来政治には関わらないはずの女性であるデイジーが一緒にいたということは、彼女が次期当主である可能性は高い。
ラナの思った通り、簡単に挨拶を済ませたキャンベル辺境伯は心苦しそうにしながらもエドワードを別室へ誘い、その後ろを当然のようにデイジーも付いて行く。
「このような席だというのに、申し訳ございません」
「いや。私の頼んだことだ」
エドワードはふたりを伴い、ふとラナを振り返った。
「必要な客人への挨拶はおおよそ済んだはずだ。すぐに戻るから、待っていてくれ。ライアンを呼んでおく」
なにやらよほど重要な話があるのか、エドワードの関心はすっかりそちらへ向かっている。
ラナも父や兄たちが政に取り組む姿を見て育っているので、素直に頷いて彼らの後ろ姿を見送った。
デイジーは小柄なラナよりいくらか上背があるようで、エドワードと並んでもとても見栄えがするものだと、彼女の美しさに感心してしまう。