王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
ポツンとひとりぼっちになったラナの元にはライアンが来ると王太子が言っていたが、彼が現れる前に他の令嬢たちが気遣わしげな視線を寄越してくれた。
先ほどエドワードと共に挨拶を交わした者だったので、ラナのほうから声をかける。
「こんばんは。ホルテン伯爵嬢と、パンネクック伯爵嬢ね。少しお話相手になって下さるかしら」
ふたりは喜んで応じ、すぐにラナを挟んで声を弾ませた。
「ホルテン伯爵の次女のフロールと申します。先ほどは王女殿下とは言葉を交わせませんでしたから、光栄ですわ」
「私はマティルデと申します。とっても素敵なドレスですね。それから、これはなんという髪型ですの? 私たちもぜひ真似たいと申していたところなのです」
フロールとマティルデは感じのいい娘たちで、ラナにナバの社交界のことをいろいろと話して聞かせてくれた。
特に騎士団時代からのエドワードの人気については熱弁を振るう。
「近頃は殿下の心を掴むのはどの娘かって、社交界の間で火花が散っていたのですよ。私とマティルデには婚約者がいるので、殿下へのお気持ちは単なる憧れでしたけれど」
「そうね。殿下は強くて心優しくて、その上あのブルネットの髪に翡翠色の瞳ですもの。私たちはラナ様のような素敵な方が妃になってくれて嬉しいけれど、きっと次は公妾の座を巡って争奪戦が起きますわね」
ラナは耳馴れぬ単語に首を傾げた。
「公妾、とはなんのこと?」
伯爵嬢たちもキョトンとして目を合わせる。
「スタニスラバの国王は公妾をお持ちにならないのかしら」
フロールはラナに最近の社交界のあれこれを教えてくれたのと同じように、まったくの親切心でそのことを説明してくれた。