王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
「なんて素敵な街なのかしら。いつも賑やかで楽しそう。あっ、あちらで曲芸が」
黄金の髪を持つ王女はエドワードが選んだラベンダー色のオフショルダーのドレスを着ており、ふわふわと歩き回る様子はさながら妖精のようである。
彼の見立て通り、プラチナブロンドの少女には淡い紫色がよく似合った。
「こら、走るなって」
これを追いかけるエドワードもひと苦労だ。
ラナはエドワードと共に街を行き、流浪の踊り子の舞を見て、吟遊詩人の歌を聴き、次から次へと飛び込んでくる目新しいものに興味を示した。
彼女たちの後ろにはキティやルザの他に、ライアンを始めとした近衛師団の兵士たちも控えていたが、エドワードは彼女の質問のひとつひとつに好んで自ら答えるのだった。
彼は豪華絢爛な王城の間で目にする婚約者も美しいと思っていたが、穏やかな日の光の下でエドワードの選んだドレスを纏って隣を歩く彼女をひどく可憐だと思ったので、衣装と同じ色の花を買ってやることにした。
街角の花屋の店先で、カゴを持って花売りをしていたまだ年端もいかない娘に声をかけ、ラベンダーの花を数本買う。
ラナはエドワードから渡された花を喜んで受け取った。
「ありがとうございます、殿下。お城に帰ったらお部屋に飾らなくちゃ」
王太子が姫君に花をプレゼントするのを目にした花屋の幼い娘は、彼らを見上げてまん丸い目を輝かせた。
「お姉さんはシャナね。私、知ってるよ。妖精さんでしょう」
言われたラナは首を傾げる。
「シャナ?」
花売りの娘は得意げに王太子を指差して言った。